2013.09.01 雑誌掲載 『国際商業』

研究開発力を高めるための産学官の共同研究。海外企業との商談をスムーズに進める情報収集力など、独創的な会社であり続けるための取り組みを紹介。

化粧品OEMメーカー独自色が鮮明化 コスメテックジャパン

新素材・処方を産学官で研究


すべての研究員に理想の研究環境を用意

1885年創業の老舗化粧品メーカー桃谷順天館の傘下で、OEM事業を展開するコスメテックジャパンが市場で存在感を増している。

同社は、大手メーカーの製造アウトソーシング化の加速と異業務企業の新規参入の増加を見越して、桃谷順天館が1993年に別会社として設立。
西洋医学を応用した日本初の近代化粧品を発売した桃谷順天館が培ってきた研究開発力を受け継ぐとともに、05年からは企画提案力を強化。
取引先の強みを活かした独創的な提案が化粧品市場の動向に不慣れな異業種企業を山中心に支持を獲得したことで、12年の売上高は05年の3倍に拡大。今期も2桁伸長が確実な情勢となっている。

同社が企画提案力の強化に乗り出したのは、経済動向に影響を受けない筋肉質の経営基盤を築き上げるためだ。取引先の意向に沿って化粧品を製造する下請けは、景気と消費者の懐具合に合わせて生産量を上下する取引先の戦略に左右されやすい。
しかし、商品企画や市場調査、デザインを含むブランディングや販促など、化粧品ビジネスを総合的にコンサルティングすることで新しい市場や新コンセプトの製品を自ら創造すれば、景気が落ち込んでも業績を伸ばせると考えたわけだ。
藤本謙介社長が説明する。

「化粧品ビジネスでは、一般のお客様が夢を感じる価値を提供することが成功のカギを握っています。そこで、クライアント様の強みを活かした高付加価値製品を軸としたビジネスモデルの提案に注力。リーマンショックが起きた08年でも売上げが倍増しました」
企画提案力の強化に当たっては、まず社員の採用恭準を一新した。というのは、同社では商談時、入念に準備した企画書やプレゼン資料を説明するだけではなく、取引先の意見や質問を踏まえて、その場で新しい企画を提示することを重視している。
それを実践するには、クリエイティブな発想力とトレンドの先見性を兼ね備えた人材が必要だからだ。そこで、採用試験では、模範解答が用意できない独自のテストを実施、思考の柔軟性を評価するように心がけている。

「内容はトップシークレットですが、一般的に数年間一緒に働かないと把握できないといわれる企画提案力の有無を、5分で見抜くことができます」(藤本社長)

また、営業部を廃止して企画提案グループを新設。仕事の仕組みを変えることで、取引先のさまざまな質問に答えられる人材を育成し、企画提案力の底上げを図った。
具体的には、一般的な営業の役割は取引先との商談をまとめることだが、同社の社員には、営業だけでなく、処方を開発する中央研究所との調整、容器の選定や加飾、工場での生産管理、薬事対応など、化粧品の受注から開発、出荷までをマネジメントすることが求められる。
つまり、OEMに関するスキルが身につくようにOJTの仕組みを構築したわけだ。

一方で、研究開発力も強化。その一環として、中央研究所で働く全研究員に理想の研究環境についてのヒアリングを09年に実施。研究員から上がった意見をすべて採り入れた研究所をつくることで、他社との業別化につながる独創的な研究成巣を得るのが目的だ。
例えば、研究員は研究スペースが手狭になったことで、実験の順番待ちが起こり始めていると指摘。そこで、研究員一人ひとりに実験台と事務机を組み合わせた約6㍍のスペースを用意した。
現在、研究員の数は09年の倍に当たる約40人に増えているが、同じ敷地内に分室を設けることで、一人当たりのスペースが狭くならないように配慮。「確実に研究開発力が高まっている」と藤本社長は手応えを口にする。

世界のトレンドを把握し海外企業との商談に活かす

国内での競争力を高めるとともに、新たな成長の軸として捉えているのが海外市場である。会社設立時から韓国の化粧品メーカーと取引していたが、現在は、中国、シンガポール、ベトナム、タイ、英国、米国、仏国など20ヵ国以上の企業に拡大している。それに伴い、12年の海外売上高は前年比150%増と大きく伸長。海外売上率も約7%まで高まっている。

この海外事業の発展を支えてきたのは、国内事業で培ってきた研究開発力と、日本企業ならではの品質管理能力が高く評価されていることだ。
海外の取引先の多くは、中国のOEMメーカーで製品をつくっていたものの、「メイド・イン・ジャパン」のブランド力を活用するために日本のOEMメーカーに注目。その中で、日本の化粧品メーカーの草分け的な存在である桃谷順天館のノウハウを受け継いでいることが海外企業との取引のきっかけとなった。

実際、10年には、世界最大級のBtoB国際取引支援サイトを運営するアリババから高品質な日本製品の認知向上に貢献したとして、ベストサプライヤー賞を受賞した。
「今後も海外に自社工場を設置せず、日本国内での製造にこだわることで、海外市場における競争力を高める」と藤本社長は説明する。
また、国内事業と同じように、海外のトレンドを学ぶことで企画提案力も高めている。「国内の動向だけを追いかけて、『ガラパゴス状態』に陥ると、海外のクライアント様と商談ができない」(藤本社長)からだ。

そこで海外事業部を08年に新設。英語と中国語に堪能な社員を配置することで、海外企業とのコミュニケーションを円滑に行えるようにした。
また毎年、世界最大の化粧品原料の展示会「in-cosmetics」に藤本社長を含む経営陣と社員が必ず参加するほか、グローバル調達や各国の薬事および規制、輸出入手続きに関する情報を常に収集している。
一方、売上げと利益の倍増を目指す5カ年計画「Challenge×2」を13年に発表。その中で、今年を「現場カを高める年」と位置付けており、生命線の企画提案力と研究開発力を改めて磨いている。

企画提案力では、これまで取引のなかったチャネルの企業を開拓。「新しい視点を学ぶことが社員の力を伸ばすことにつながる」(藤本社長)との考えからだ。
例えば、5月に開催された化粧品産業技術展に出展したことで、美容院やエステティックサロンなどのプロフェッショナル向けの製品に特化した合数との取引がスタート。コンシューマー向けとは要求が異なる製品をつくることに挑戦している。

研究開発力の強化では、産学官の共同研究を推進。大学や政府系研究機関と連携してオリジナル原料を開発することで、他社との差別化を図るのが狙いだ。研究テーマは、雲をつかむようなものから臨床段階のものまで多岐にわたっているが、「どれも大きな可能性を秘めている」と藤本社長は期待を示している。

「一般のお客様がワクワクする化粧品を提案できる独創的な会社であり続ける」と藤本社長は意気込む。圧倒的な企画提案力と研究開発力を武器に、力強い成長スタイルを確立したコスメテックジャパンの今後に注目したい。

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