2017.03.01 雑誌掲載 『国際商業』

市場の一歩先を捉える鍵は社員一人一人の感性。組織に根付いたチャレンジ精神で市場創造型のOEMメーカーを目指す。

OEMメーカー トップインタビュー

  • コスメテックジャパン
  • 藤本謙介 代表取締役社長兼CEO
  • 社員の感性を磨き、市場創造型ビジネスに挑む


社員一人ひとりの感性を活かす経営

―2016年11月期も増収増益。堅調な業績が続いていますね。
藤本 市場創造型のOEMとして、新しいビジネスモデルを創出することにコスメテックジャパンは重点を置いており、その哲学に共感いただけるお客様が増えているからだと思います。依然として、OEM市場には追い風が吹いていると思います。大手化粧品メーカーのアウトソーシングの流れは続き、異業種企業の参入も増えています。「爆買い」に代表されるインバウンド需要は一服感があるものの、海外市場を含めれば「メイドインジャパン」を求めるお客様の声は根強いですからね。しかし、私たちは、売上至上主義ではありません。グループで培ってきたノウハウを使って、お客様の強みを生かした新機軸の価値を生む。市場創造型のビジネスモデルが、私たちの真骨頂なんです。特に、本業がある異業種企業は、化粧品分野にベンチャー精神で参入しますから、私たちの付加価値提案力に期待していただけます。長期取引が少なくないのは、コスメテックジャパンの存在意義が浸透しているからだと思います。目先の数字ではなく、質を追う仕事は、苦労もありますが、やりがいもあります。だから、社員のモチベーションも高まっており、ビジネスは好循環で回っていると手応えを感じています。

―しかし、競合他社も価値提案に磨きをかけています。
藤本 これまで以上に提案の質が問われる時代に入ったのは間違いありません。当然、オリジナルの原料や処方を提案することは大事ですが、それだけでは不十分なのではないでしょうか。もっとあらゆる面でプラスアルファの価値を生み出せるOEMメーカーになることが必要だと考えています。

―どうしていきますか。
藤本 鍵を握るのは、社員一人一人の感性です。市場データは重要な指標だと思います。しかし、すでに市場が確立されているのでは、もう手遅れではないでしょうか。お客様に先行者メリットはなく、シェアトップに立つのは容易ではありません。化粧品ビジネスでは、お客様の気持ちをワクワクさせることが大事ですから、社会の半歩先、一歩先をキャッチする社員の感性を伸ばしていく。その一方で、マネジメント層は、突拍子もないアイデアを尊重する勇気を持ち、素早く決断し、戦略に落とし込む力が必要です。若手社員とマネジメント層の両輪が回れば、飽和状態の国内市場でもブルーオーシャンを切り開くことはできると思います。

―成長を続けるには、風通しの良い組織風土が必要だと。
藤本 社員の気持ちはよくわかります。斬新なアイデアほど、仲間に披露し難いものですよね。でも、自分の頭の中で考えているだけではもったいない。ヒット商品のスタートラインは、ふとした思い付きだからです。社員には、コンセプト、デザイン、テクスチャーなどを考え、企画書にまとめる。そして試作品をつくることを促しています。この行程を通じて、自分のアイデアの価値を社員同士でディスカッションすれば、新しい発見が出てくると思います。年間の試作品数は数千種類にもおよびますが、これは単純なコストではなく、未来への投資だと考えています。社員一人ひとりの試行錯誤の積み重ねが提案力に磨きをかけ、お客様の心を掴むことに結びつくと思っているからです。

―組織にチャレンジ精神が根付いていますね。
藤本 前例のない商品の成否は誰にもわかりません。新しい価値提案で市場を創造することに面白味を感じなければ、OEMメーカーは成長できないと思います。もちろん、経営は理論や数字が大切ですが、会社を大きくするのはヒット商品を積み重ねることです。私は、「商品が全てを変える原動力である」と考え、社員の感性に磨きをかけ続けます。

新本社の稼働で研究開発体制が充実

―提案力を支える技術面は、どのように高めていきますか。
藤本 16年11月に移った新本社では、研究所のスペースを2倍以上に広げました。研究所と工場はモノづくりの要。新本社の研究所は研究員の要望を可能な限り実現しました。

―と言いますと。
藤本 目玉の一つは、新たに「細胞培養実験室」を設けたことです。これまで外部機関に委託していた分子生物レベル、遺伝子レベルでの研究が自社内で行えるようになりました。例えば、肌には何百種類もの常在菌がいます。腸内細菌に代表される、“フローラ(菌叢)”というものです。最近の研究から、皮膚フローラのバランスが美肌や肌トラブルと関係があることが示唆されています。こういった研究から、従来にない新しい美肌へのアプローチが生まれる可能性があると考えています。また、このような研究技術は、原料の効能効果のメカニズムをより詳細に把握することができます。これにより、独自原料、独自処方の開発もステップアップできると考えています。一方、温度と湿度を一定に保つ「恒温恒湿室」の大きさは、7倍以上に広げました。たくさんの被験者が同時に入室できるので、研究開発の効率性が高まっています。

―研究の内製化を進めた狙いは。
藤本 外注では、社内にノウハウが残りませんからね。例えば「細胞培養実験室」での研究が進めば、ips細胞を用いた再生医療を視野に、より根本からお客様に美を提供できる可能性もあります。化粧品領域にとどまらない展開ができると期待しています。

―積極的に取り組んできたオープンイノベーションについては。
藤本 もちろん、さらに加速させていきます。私たちが持つ五つの研究所の中でも、先端技術をリサーチし、応用技術の研究やシーズの開発に取り組む「NextR&D研究所」と新たな美の提供手段や美の革新的価値を研究する「フロンティア研究所」は、化粧品の枠にとらわれることなく新分野の研究を進めています。産学官共同研究においては、同時進行でさまざまな研究を進めているのですが、多くの可能性を秘めており、特許の出願数は増えています。まだ公には出来ませんが、その種がお客さまのお悩みを解決できる活気的な商品・サービスとして花開くのではないかと手応えを感じています。

―新本社と旧本社の研究所を比べると、コミュニケーションスペースが広がったように思います。
藤本 旧本社では、仕事に集中できるように、研究員一人ひとりの区切られた空間に研究台と続いているデスクを用意していました。新本社では、その環境を維持しつつ、研究員同士の交流が生まれるように、研究台の近くに大きな共有テーブルを置いたフリースペースを設けています。ベテランの知識と経験が若手に伝わり、研究員の成長を加速するのが狙いです。新本社が動き出して約4カ月ですから、目に見える成果はこれからですが、社員の働く環境が整ったのは間違いありません。次に問われるのは、中身。つまり、新本社で仕事に励む社員一人ひとりのレベルアップです。全部門の社員の成長意欲を引き出していきます。

若手の抜擢で組織を活性化

―人財育成は、どのように進めますか。
藤本 社員に多様な経験を積ませることで、物事を見る視野を広げていきます。それはグループ会社だからこそできる経験だとも言えると思っています。ご存知の方も多いかと思いますが、私たちコスメテックジャパンは桃谷順天館を母体にもつOEMメーカーです。グループ全体で長年蓄積してきたノウハウを世の中で広く役立てて、多くの方々に喜んでいたただくことが使命だと考えています。最高の技術をもって人々の幸せに貢献する、そのためには、次代に向けて、会社全体を俯瞰して行動できる人財を増やしていかないといけません。16年12月に、私がコスメテックジャパンの社長に復帰したのも、そういった狙いがあります。

―どういうことでしょうか。
藤本 前社長の生川博一はOEM事業に20年弱従事してきました。私の右腕で、頼りになる存在でしたが、あえてグループの別会社に異動させ、化粧品ブランド育成の責任者を任せています。OEM事業とは異なる経験を積むことで、彼は、もう一回り大きな存在になると期待しています。また同時に、コスメテックジャパンでは、若手・中堅社員3人を執行役員に抜擢しました。そのうちの一人は、31歳の女性で、新卒入社の生え抜きです。彼女の実績は抜群で一目置かれる存在でしたが、これほど若い執行役員は前例がなく、当初は社内に驚きが広がりました。私の狙いは、年齢、性別に関係なく、実力主義を徹底するというメッセージを発信することです。年功序列ではなく、仕事に情熱を持ち、実力がある人財が組織を引っ張ることで、変化の激しい経営環境に対応していきます。

―人事も、組織風土改革の一環。一段と柔軟な組織になりそうですね。
藤本 今後も教育への投資は惜しみません。桃谷順天館グループ全体で、次代を担う人財は、どんどん鍛えていく方針です。その一環として経営幹部を慶應義塾大学大学院経営管理研究科が主催する「EXECUTIVE MBA」に派遣しています。私も若い頃にボストン大学経営学部大学院でMBAの講義を受けましたが、様々な業種、企業から幹部候補生が派遣されていますから、自分の実力を客観的に把握できる機会にもなります。化粧品業界を飛び回るだけでは出会えない人々との交流は刺激的で、モチベーションも高まるでしょう。難しい講義を乗り越えた仲間とは、卒業後も交流が続きますから、貴重な人的ネットワークを手に入れることになります。

海外事業の基盤が整い売上高比率は20%へ

―高度な人財を育てないと、競争に勝てないということですか。
藤本 長期的な視点に立てば、少子高齢化が進む国内市場だけでは、持続的成長が難しくなります。グローバル市場に打って出て、ビジネスの基盤を強化することが不可欠です。特に昨今は、米国とドイツがリードする形で、第四次産業革命が巻き起こっています。化粧品分野に精通しているだけでは、通用しない時代になっています。大きな社会の流れ、IoTの進化など、最先端の情報を吸収できる人財が大事になると思います。

―17年11月期は、海外市場に開拓を加速させるのですか。
藤本 その通りです。今期のテーマの一つとして、グローバル事業の育成を挙げています。実は、アジアで力のある世界的なドラッグストアのPBを受注しました。「メイドインジャパン」のサプライヤーを探していたドラッグ側が、コンペを開き、日本のOEMメーカー10社がエントリーしました。安全性、品質に関わる15種類以上もの必須試験を経て、弊社が日本唯一のサプライヤーとして選ばれました。これは大きな自信となりました。現在、海外のお客様は、13カ国42社まで増えており、今期の海外売上高比率は20%を超える見込みです。海外事業の成長を加速させるベースは整ったと思います。

―国内市場は、どのように攻めますか。
藤本 化粧品分野だけでなく、健康食品分野を強化していきます。機能性表示食品制度は、政府挙げての取り組みですから、今後の市場拡大が期待できます。実際、米国では、医療費削減を目指す政府の後押しがあって、DSHEA(ダイエタリーサプリメント健康教育法)がスタート。健康食品市場は20年間で4倍になっています。日本の健康食品市場のメインターゲットは40代以上の女性です。効果にこだわって作り込んだアンチエイジングクリームと、美容サプリメントを併用することで、さらに肌の弾力が向上する傾向が見られました。今後も内外美容研究を行い、お客様が求めている、夢を感じられる商品・サービスを提案していきます。

実際の紙面はこちら

ニュース一覧へ

オリジナル化粧品の製造、OEM先をご検討の方は、コスメテックジャパンへお気軽にお問い合わせください。

  • 大阪本社 お問い合わせ
  • 東京営業本部 お問い合わせ
  • 海外担当 お問い合わせ

メールでのお問い合わせ